2024.04.09
CeloUG(Celonisユーザー会)は、2024年2月1日(木)に、第七回CeloUG全体会議と第二回技術分科会を開催いたしました。
第一部では、昨年11月にドイツ・ミュンヘンで開催された、世界的な年次イベント「Celosphere」で発表された最新のプロセスマイニング技術アップデートについての技術分科会を開催しました。
第二部では、CeloUG理事のKDDI株式会社近藤裕司氏より、同社の導入事例のご講演と、その中で取り上げた「3つの壁」をテーマに参加者全員によるグループディスカッションを行いました。その様子の一部を以下に紹介します。
【プログラム】
第一部:14:00~15:00
技術分科会 「グローバル年次イベントCelosphereからの製品・技術アップデート」寺田 有汰 (Celonis株式会社 バリューエンジニアリング本部 部長)
第二部:15:00〜17:00
開会の挨拶 近藤 裕司氏(KDDI株式会社 技術統括本部 次世代自動化開発本部 オペレーション基盤開発部 副部長)
導入事例のご紹介 近藤 裕司氏(KDDI株式会社)
グループディスカッション モデレーター:近藤 裕司氏(KDDI株式会社)
第三部:17:00〜18:00
懇親会
【技術分科会】
技術分科会では、弊社バリューエンジニアリング本部部長の寺田が登壇し、グローバル年次イベントCelosphereでのCelonisの最新技術についての重要な発表内容を共有しました。
Celosphereで強調されたのは、Process Intelligence Graphの導入とAIとの連携によるプロセスマイニングの向上です。さらに、AIを活用したBPMソリューションを提供するSymbio社の買収が発表され、これによりCelonisを使った分析から強化、監視、そしてAPIによる自動化がよりシームレスになったと述べました。
具体的には、以下の5つのアジェンダに沿って詳細が説明されました。
1. Process Intelligence Graphの紹介: Celonisは、プロセスに関する共通言語の不在に対処するために、Process Intelligence Graph を活用しています。これにより、高速かつ直感的な分析が実現され、Celonisを使った分析から強化、監視、そしてAPIによる自動化のサイクルがよりシームレスになると紹介しました。
2. プロセス分析の新機能: 新たに導入されたオブジェクトセントリックデータモデルとナレッジモデルを活用することで、Process Intelligence Graphを使った直感的な分析が可能になりました。また、マルチオブジェクトプロセスエクスプローラーを利用することで、複数のオブジェクトが交差するプロセスにおける課題を分析できます。さらに、Studio を使用すれば、プロセスの発見、監視、運用という 3つのシナリオすべてに対応するダッシュボードを簡単に作成することができると説明しました。
3. プロセス強化の新機能: CelonisがSymbio社を買収し、ビジネスプロセスのモデリング機能が大幅に拡充されました。これにより、プロセスマイニングに加えて、Process Modelingも可能となり、E2Eのビジネスプロセスマネジメント機能が提供されると強調しました。
4. プロセス監視の新機能: OCPM技術を活用した新機能、Process Adherence Managerが登場しました。これは、従来のコンフォーマンスチェッカーによるプロセス適合率の機能をさらに強化し、逸脱の発生状況やスループットタイムなどをシームレスに分析できます。 また、Transformation Hubを使ってCelonis上でValue Trackingを実現し、プロセスデータから直接計算できるKPIを定義し、毎月のバリュー創出量を自動的にトラックできると紹介しました。
5. 外部プラットフォーム連携の新機能: CelonisはIntelligence APIを活用し、SalesforceやService Now、Microsoft Power Automateなどの他のプラットフォームとの連携を強化しました。
本日の技術分科会では、ドイツでの2日間のイベントを簡潔にまとめ、Process Intelligence Graphによる新機能をプロセス分析、強化、監視、API連携の観点から紹介しました。
参加者のコメントをいくつか紹介します。
Celosphereで得た情報を再度日本語で聞くことができ、OCPMなどの理解が深まりました。また、Symbioの業務フローに関する技術に興味が湧きました
Proces Intelligence Graphは非常に参考になりました
Process Intelligence Graphを導入した企業の事例を紹介してほしいです
SymbioセッションでのCelonisとのすみわけについての説明は参考になりました
【導入事例のご紹介:KDDI株式会社】
近藤氏は、過去CeloUGで話題になった主なポイント(どうやって導入するか、どうデータを集めるか、どう組織化するか)と、海外の技術動向(AI/機械学習の活用)との差を紹介し、どのようなステップがAIドリブンなプロセス最適化を実現する上で必要かを紹介しました。 これを意識し、KDDIの2019年からのプロセスマイニングの取り組みについての事例を紹介し、業務プロセスを起点に改善が進む仕組みの実現に注力していることを説明しました。この取り組みにより、プロセスマイニングを通じて改善プロジェクト全体で効果を見せつつ、事実を見た上で議論ができる体制に段階的にシフトさせています。
プロセスマイニングを導入すると、多くのユーザー企業が導入時の壁、データの壁、改善の壁のいずれかに直面していることが明らかになりました。CeloUGでの議論を通じて、これらの課題に取り組む企業の多さが浮き彫りになりました。近藤氏は、これらの壁を乗り越えるための具体的なアプローチを提案しました。
まず、プロセスマイニング導入時の壁について、プロセスモデルの理解や可視化を通じて改善の議論を促進することの重要性を強調しました。そして、実際に手を動かして体験することや初期プロジェクトを検証型で進めることが成功のカギであると述べました。
次に、データの壁について、業務の流れと課題感を意識してデータを探し、必要なデータを作成する覚悟が必要であると指摘しました。データ量が多い場合には、事前にデータを気にして分析に取り組むことが重要であると紹介しました。
最後に、改善の壁について、プロセスマイニングが時間経過で何が起きているかを示すことや、変化する業務に対応するための取り組みが必要であることを強調しました。また、見つけた課題にすぐに改善を回す体制の構築も重要であると述べました。
近藤氏は、プロセスマイニングを通じて業務の改善を進める中で、価値のあるものをデータ化し、改善を行うことで仲間と喜びを分かち合う仕組みを創りたいという期待を述べ、講演を締めくくられました。
KDDIの取り組みは、プロセスマイニングを通じて、業務改善のための新たな道筋を示しています。これらの壁を乗り越えるためのアプローチは、他の企業にとっても参考になるものであり、プロセスマイニングの価値を最大限に引き出すための手がかりとなるでしょう。
【グループディスカッション】
事例講演に引き続き、参加者全員によるグループディスカッションが行われました。今回のトピックは、KDDI近藤氏が指摘したプロセスマイニング導入の壁、データの壁、改善の壁に焦点を当てました。参加者たちは、それぞれの企業での課題や成功体験を共有し、近藤氏の提案したアプローチを活用するためのアイデアを交換しました。
CeloUGでは、活発なグループディスカッションの後、参加者は部屋を移動して懇親会が開催されました。この懇親会では、ユーザーとCelonis社員が交流し、より深い関係を築く機会となりました。意見の交換やアイデアの共有が行われ、新たな洞察が得られたことで、今後の取り組みに対するモチベーションが高まりました。これからも、ユーザーとCelonis社員が協力し合いながら、より良いプロセス改善の実現に向けて歩みを進めていきます。
最後に、CeloUG参加者のコメントの一部を紹介します。
Celonisで浮かび上がった課題を改善に繋げていくために、「人」が重要だと感じました。現場の視点からの問題も考慮しながら、Celonisのデータを活用してコミュニケーションを図ることが重要です。
KDDIの近藤氏によるプロセスマイニングについての説明を聞いて、最終目標に向かうステップについて再考する機会を得ました。導入の際には、最初のステップだけでなく、最終目標に到達するためのステップを共有しながら進める必要があることを認識しました。
KDDIの導入事例は非常に参考になりました。業務部門を巻き込みながら進めることが重要だと感じました。
現場での業務改善に取り組んでいる人を見つけることが重要だと感じました。
改善を実行する際に、現場と協力し合える関係を築くことが重要だと再認識しました。
施策を実行した後も、モニタリングを継続することが重要だと思いました。
次回、第八回CeloUG全体会議は2024年6月頃の開催を予定しています。
問い合わせ先:CeloUG事務局(Celonis株式会社内)marketing-japan@celonis.com
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